2012年07月31日

相続税を課税する相続財産とされるものには、どういうものがあるでしょうか?


相続税の計算に必要な相続財産の範囲を理解しないと、相続税がどの程度かかるのかわからないので、相続財産を把握し、評価するのが重要になります。

 相続税における相続財産の範囲と遺産分割協議の際の相続財産の範囲とは違います。

 相続税における相続財産とされるのは、自宅や預貯金だけではありません。

 課税される相続財産として、次の3つがあり、3つを全部合計します。

@相続や遺贈によって取得した財産
 被相続人が亡くなった時点において所有していた土地、家屋、借地権、立木、事業・農業用財産、有価証券、各種会員権、家庭用財産、自動車、貴金属、書画・骨董、電話加入権、現金、預貯金などの一切の財産が含まれます。
 ただし、生前購入した墓地や仏壇、仏具などは除外されて相続財産にはなりません。

Aみなし相続財産(相続や遺贈によって取得したとみなされる財産)

 ・生命保険などの死亡保険金
   被相続人が負担していた保険料に対応する部分の金額

 ・死亡退職金、功労金、慰労金、弔慰金など
   ※死亡保険金や死亡退職金には非課税枠があります。

 ・生命保険契約に関する権利
    夫が自分を受取人にして妻に生命保険をかけて保険料を支払っている途中に亡く
   なった場合、妻がこの保険を相続して解約すれば、保険会社から解約返戻金が支払
   われます。その解約返戻金をみなし相続財産として相続財産に加えます。

 ・給付事由の発生していない定期金に関する権利
    妻を契約者として郵便局や保険会社の個人年金の掛け金を支払っていた夫が亡く
   なった場合は、死亡時までに被相続人が支払った掛け金の額

 ・保証期間付定期金に関する継続受給権
    20年の保証期間つきの個人年金を受け取り始めて5年後に契約者が亡くなった
   場合、残りの15年分の年金が遺族に支払われるので、その受け取る年金

 ・被相続人の遺言により、信託の利益を受ける権利、債務の免除・引受け・弁済を受
  けた場合の利益、著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合の利益など
 

B相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産

 ・相続時精算課税により贈与された財産は、何年前であっても、すべて対象になりま
  す。そして、相続時精算課税制度の計算方法を用いて計算します。

 ・贈与を受けたときに、贈与税を納めていたら、その分は相続税から差し引きます。

 ・相続開始前3年以内に、被相続人から居住用不動産の贈与を受けた配偶者が、居住用
  不動産の配偶者の特例による控除を受けていれば、その受けた部分については、相続
  税の課税対象になりません。

 次に、上記3つの合計から、非課税として差し引くことができるものを挙げます。

C葬儀費用

D債務

E非課税財産
 相続人各人が実際に取得した遺産総額(@相続や遺贈によって取得した財産+Aみなし相続財産+B相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産)から、差し引き分(C葬儀費用+D債務+E非課税財産)を引いた金額が各人の課税価格で、これを相続人全員の分、合計します。合計したのが、課税遺産総額(課税価格の合計)になります。

 この課税遺産総額(課税価格の合計)が、基礎控除額を超えていれば相続税がかかり、超えていなければ相続税はかかりません。

区分:相続税QA
posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 18:52| 相続税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

任意後見の事例


事例  任意後見監督人選任事例

事案の概要

1. 本人 男性(75歳),脳梗塞による認知症の症状,長女家族と同居
2. 任意後見人 長女(44歳),主婦
3. 申立ての動機 不動産管理
4. 任意後見監督人 弁護士
5. 概要

 本人は,長年にわたって自己の所有するアパートの管理をしていたが,平成12
年4月6日に長女との間で判断能力が低下した場合に備えて,任意後見契約を結ん
だ。

 その数箇月後,本人は脳梗塞で倒れ,左半身が麻痺するとともに,認知症の症
状が現れアパートを所有していることさえ忘れてしまったため,任意後見契約の相
手方である長女が任意後見監督人選任の審判の申立てをした。

 家庭裁判所の審理を経て,弁護士が任意後見監督人に選任された。
 その結果,長女が任意後見人として,アパート管理を含む本人の財産管理,身上
監護に関する事務を行い,これらの事務が適正に行われているかどうかを任意後見
監督人が定期的に監督するようになった。

(出典 成年後見関係事件の概況 最高裁判所事務総局家庭局 〜平成12年4月から平成13年3月〜 )

posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 15:25| 成年後見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

任意後見制度とは?


「任意後見制度」とは、将来認知証などになった場合に備えて、判断能力があるうちに、支援してくれる任意後見人を選んでおく制度です。

 任意後見契約を公正証書により契約しておき、本人の判断能力が低下したときに、家庭裁判所が任意後見人を監督する任意後見監督人を選任したときに効力が生じて、任意後見がスタートします。

 遺言と任意後見制度を組み合わせて利用するのが有効的です。

 任意後見契約を締結し、条件付きの任意代理契約や見守り契約、公正証書による遺言を組み合わせて利用します。



「任意後見制度」には「将来型」「移行型」「即効型」の3つのパターンがあります。

 将来支援を受けたい場合、任意後見契約だけを結ぶのが「将来型」です。本来型ともいいます。

 任意後見契約とは、判断能力が不十分になった後に支援を開始させるための任意後見契約に関する法律
に基づく契約です。

 子供がいないご夫婦がまだ元気なときに、将来の生活設計をたてるような場合に利用します。


 今から支援を受けたいが現時点では判断能力はしっかりしている場合が「移行型」です。併用型ともいいます。

 任意後見契約と同時に任意代理契約を結び、通常の委任契約で財産管理を行い、判断能力が低下したときに任意後見人を選任して任意後見へ移行します。
 任意代理契約とは、任意後見契制度に基づく契約ではなく通常の委任契約となります。

 元気なうちから安全のため、信頼できる人に財産管理を任せたいときや、体力の衰えのために財産管理に不安を感じている場合などに利用します。

 今から支援を受けたいが、すでに現時点で判断能力に不安がある場合には「即効型」になります。

 任意後見契約と同時に任意後見監督人選任の申立を家庭裁判所に行います。

 軽度の知的障害や精神障害のある方が任意後見を利用する場合は即効型になります。

 判断能力の低下があったとしても、法定後見の補助類型程度の判断能力は必要であり、不十分なときは任意後見契約を結ぶことはできず、保佐や後見を利用することになります。


posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 15:23| 成年後見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

法定成年後見の事例


 裁判所の公表資料の成年後見関係事件の概況が平成12年から毎年データを公開していますので参考にしてください。

事例1 後見開始事例

事例の概要
1. 本人 男性(57歳),アルツハイマー病,入院中
2. 申立人 妻(53歳),パート店員
3. 申立ての動機 相続放棄
4. 成年後見人 申立人
5. 概要

 本人は5年程前から物忘れがひどくなり,勤務先の直属の部下を見ても 誰かわ
からなくなるなど,次第に社会生活を送ることができなくなった。

 日常生活においても,家族の判別がつかなくなり,その症状は重くなる一方で
回復の見込みはなく,2年前から入院している。

 ある日,本人の弟が突然事故死し,本人が弟の財産を相続することになった。弟
には負債しか残されておらず,困った本人の妻が相続放棄のために,後見開始の審
判を申し立てた。

 家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始され,夫の財産管理や身上監
護をこれまで事実上担ってきた妻が成年後見人に選任され,妻は相続放棄の手続を
した。


事例2 保佐開始事例

事例の概要
1. 本人 女性(73歳),中程度の認知症の症状,一人暮らし
2. 申立人 長男(46歳),会社員
3. 申立ての動機 不動産の売却
4. 保佐人 申立人
5. 概要

 本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていた。以前から物忘れが見ら
れたが,最近症状が進み,買物の際に一万円札を出したか五千円札を出したか,分
からなくなることが多くなり,日常生活に支障が出てきたため,長男家族と同居す
ることになった。

 隣県に住む長男は,本人が住んでいた自宅が老朽化しているため,
この際自宅の土地,建物を売りたいと考えて,保佐開始の審判の申立てをし,併せ
て土地,建物を売却することについて代理権付与の審判の申立てをした。

 家庭裁判所の審理を経て,本人について保佐が開始され,長男が保佐人に選任さ
れた。長男は,家庭裁判所から居住用不動産の処分についての許可の審判を受け,
本人の自宅を売却する手続を進めた。


事例3 親族以外の第三者を成年後見人に選任した事例

事案の概要
1. 本人 男性(44歳),統合失調症,入院中
2. 申立人 叔母(70歳),無職
3. 申立ての動機 不動産管理
4. 成年後見人 司法書士
  成年後見監督人 社団法人成年後見センター・リーガルサポート
5. 概要

本人は20年前に統合失調症を発症し,15年前から入院しているが,徐々に知
的能力が低下している。
障害認定1級を受け障害年金から医療費を支出している。

本人は母一人子一人であったが,母が半年前に死亡したため,親族は母方叔母がい
るのみである。亡母が残した自宅やアパートを相続し,その管理を行う必要がある
ため,母方叔母は後見開始の審判の申立てを行った。

家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始された。そして,母方叔母は,
遠方に居住していることから成年後見人になることは困難であり,主たる後見事務
は,不動産の登記手続とその管理であることから,司法書士を成年後見人に選任し,
併せてリーガルサポートを成年後見監督人に選任した。


(出典 成年後見関係事件の概況 最高裁判所事務総局家庭局 〜平成12年4月から平成13年3月〜 )

posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 15:14| 成年後見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

成年後見制度には、どのような種類がありますか?


 成年後見制度は、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類に分けられます。

 判断能力が不十分な方に代わり法律行為や契約を取消すのが「法定後見制度」であり、
元気なうちに判断能力が不十分になった場合に備えて財産管理などについて決めておく
のが「任意後見制度」です。


 「法定後見制度」には、本人の判断能力の程度によって、「後見」「保佐」「補助」の3類型に分かれます。

 本人の代理人を家庭裁判所に申立て選んでもらいます。
 後見の場合は成年後見人、保佐の場合は保佐人、補助の場合は補助人といいます。

 日常生活に関する行為以外の行為の取消し権が可能な「後見」が最も代理権が広く、「保佐」や「補助」は一部の代理権と取消し権に限られます。

 自分の財産を管理処分できない程度まで判断能力がなくなったいる場合は、保佐ではなく、後見の対象となります。


参考ホームページ
法務省 成年後見制度〜成年後見登記制度〜

posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 14:59| 成年後見 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。