2012年07月31日

遺言書を作成しておいたほうがよいのはどんな場合ですか。


 夫婦と子供二人の場合、夫が亡くなると妻と子供が相続し、親子間で分割協議をすればよいので、親子・兄弟関係が良好ならば、遺産を巡って争うことはそれほどないかもしれません。

 しかし、子供のいない夫婦で、夫が先に亡くなった場合はどうでしょうか。

 夫の親が健在なら夫の親と、すでに亡くなっていれば夫の兄弟、その兄弟も亡くなっていればその子供たちと遺産分割協議をしなければなりません。

 亡き夫が残した財産が夫婦で住んでいたマンションぐらいしかなく、それを処分して分配すると、残された妻は住むところがなくなってしまいます。

 夫は残された妻が不自由のない暮らしができるよう、自分のすべての財産を妻に残したくても、遺言書がないと、その財産は妻一人のものにはならないのです。


 また、法律婚でない内縁の妻の場合は、相続権すらありませんので、事実上夫婦として長い年月一緒に暮らしてきても、遺言を残しておかないと、夫名義の財産はすべて夫の親や兄弟たちで分配されてしまうのです。

 このような場合に遺言書があれば、自分の思うように財産を譲ることができます。


遺言を残しておいたよい場合を例として挙げておきます。

1.生前お世話になった人に財産を譲りたい
  身内でないのに身の回りを世話してくれた人、老後の面倒を見てくれたヘルパーさんなどに遺産を譲るこ  とができます。

2.夫婦の間に子供がいない場合、相手方配偶者に財産を残したい、有利な相続をさせたい

3.再婚の夫婦の場合で、先妻の子供と子供のいない後妻がいる場合
 再婚した場合、先妻には相続権はありませんが、先妻の子供には相続権があります。
先妻の子供には相続の権利が2分の1、後妻の相続の権利も2分の1となり、先妻の子と後妻とで遺産を分けるには分割協議をしなければなりません。自宅しか遺産がないとまとまらなくなるかもしれません。遺言書で紛争を予防することができます。

4.特定の相続人に財産を多く分配したい

5.相続人への財産の分配をあらかじめ指定しておきたい

6.自分が指定した条件を履行したら財産を残したい
  
7.内縁の妻(夫)、内縁の妻の子や事実上の養子に財産を残したい場合
 戸籍上の届けを出していなければ、被相続人の遺産を相続する権利はありません。
遺言書か死因贈与契約書を書いてもらうか、婚姻・縁組の入籍をしたほうがよいでしょう。
相続開始後には、同居していた家屋の居住権、年金などの受給権、夫婦共有財産の清算などしか主張できません。

8.相続権のない世話になった息子の嫁に財産を残したい

9.相続権のない孫や兄弟姉妹に財産を残したい

10.婚外子の認知をしたい
  認知をして、婚外子(非嫡出子)と実子の相続分の割合を同じにすることもできます。

11.相続人の一人に財産をあげたくない(廃除したい)
  遺言で廃除する場合、死後に遺言執行者が家庭裁判所に請求しますが、廃除原因を
 証明するのは難しい場合が多いため、廃除したいなら生前に行うべきでしょう。

12.同族会社、個人事業、農業を営んでおり、後継者を指定して事業用財産を引き継が
   せて、財産の散逸をさけたい

  商売に必要な不動産や機械、備品などの事業用財産、会社なら株式など、相続の対象であり遺言がなければ遺産分割協議の対象になります。
 相続人たちが自分の権利を主張して争いになると、事業の存続が危うくなるでしょう。
そこで、遺言により事業用財産を引き継がせる後継者を指定する必要があります。


13.自治体などに寄付して遺産を社会のために役立てたい
 法人に寄付すると、その部分は相続課税財産の対象外となり非課税となります。
 社会福祉事業などで、公益事業に確実に使われるなどの要件が必要になります。
 遺言に書かなければ、遺産分割の対象になってしまいます。
 遺留分を配慮しておかないと、遺留分減殺請求により実現しない可能性があります。

14.相続人の中に行方不明がいる場合
  遺産分割協議するとき、行方不明者がいる場合、不在者財産管理人を選任して、家庭裁判所の許可が必要
  になります。

15.法定相続人がいない
   法定相続人がいない場合、遺言がないと、国のものにされてしまいます。

16.葬儀方法やお墓について指定しておきたい
   法的な強制力はありません。


区分:遺言QA


posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 12:20| 遺言書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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