2012年07月31日

遺言に書くことができるのは、どんなものがありますか?


 遺言というのは、自分の死後、後の者に残す故人の遺志なので、何を書いても自由です。

 ただ、相続というのは法的な問題なので、法律的な効力があるものは限られています。

 法律上効力のない遺言事項以外を書いていけないということはありません。

 たとえば、「兄弟仲良くするように」などの訓戒や道義上のものでも、法的に効力のない事項を書いたからといって遺言そのものが無効となるわけではありません。

 逆に、そのような遺言書の記載事項は、「付言事項」として取り扱われて、相続人がそれを尊重するかどうかは任意ではありますが、最後の意思表示として重く受けとめられ実行してくれることを期待できます。


 法律上効力を有する遺言事項は、次のような場合です。

(1)相続に関すること

  @相続分の指定または指定の委託
    相続人のうち、誰か一人に多く財産を残したいなど、法定相続分と異なる割合を
   指定できます。また、指定することを第三者に委託することもできます。

  A遺産分割方法の指定または指定の委託
    財産の分割方法を、具体的に指定することができます。たとえば、会社や家業の
   承継者を決めたり、自宅は妻、預貯金は長男に残すなどと指定できます。
    また、指定することを第三者に委託することもできます。

  B遺産分割の禁止
    遺産分割で争いがおきそうなときに、最長5年間の範囲で、遺産分割を禁止する
   ことができます。

  C相続人の廃除および廃除の取消
    相続人の廃除は生存中だけでなく、遺言で廃除をすることもできます。死後、遺
   言執行者が家庭裁判所に申し立てることになります。
    また、遺言によって廃除の取り消しをすることもできます。

  D特別受益の持ち戻しの免除
    生前に贈与した財産は、そのままでは特別受益として遺産分割の際に法定相続分
   から差し引かれてしまいます。特別受益の持ち戻しを免除すると遺言することで差
   し引くのを免除することができます。

  E相続人間の担保責任の指定
    相続では、相続人間で公平な利益の分配を行うため、他の相続人に対してその相
   続分に応じた担保責任を負っていますが、遺言でこの担保責任を変更できます。
    たとえば、特定の相続人が、相続して引き継いだ債権が、取立てできなくなった
   ようなときに、他の相続人にその分を相続分に応じて負担してもらうことなどを決
   めることができます。

  F遺贈減殺方法の指定
    法定相続人の遺留分を侵害する遺贈をしたことにより、法定相続人が遺留分を要
   求してきた場合に、どの財産から、またどのような割合で法定相続人に持ち戻し(減
   殺)できるかを指定することができます。

  G遺言執行者の指定または指定の委託
    遺産を引き渡したり、登記をしたりといった遺言内容を実行してくれる遺言執行
   者の指定をすることができます。さらに指定の委託をすることができます。


(2)身分に関すること

  @子の認知
    生前中に認知できなかった婚姻届を出さずに生まれた子が実子であることを認
   知します。まだ、生まれていない胎児の認知もできます。
    認知により非嫡出子とされ、法定相続分は実子の2分の1となります。

  A未成年後見人の指定および後見監督人の指定
    遺言者が単独の親権者で相続人が未成年者の場合、親権者が一人もいなく
   なるので財産管理などをする後見人を指定をすることができます。
    また、その後見人を監督する後見監督人の指定もできます。

  B祭祀承継者の指定
    祖先の墓地・仏壇などの承継者を指定することができます。


(3)財産処分に関すること

  @遺贈
    遺言による財産の贈与で、誰にでも贈与することができます。被相続人から見れ
   ば第三者ではないが、相続人でない人(内縁の妻、事実上の養子、長男の嫁など)
   に財産を残すことができるのです。

    遺言によって財産を贈ることを遺贈といいます。ある特定の財産を指定して行う
   場合を特定遺贈と遺産の全部あるいは一定の割合を指定する場合を包括遺贈があり
   ます。

    死因贈与契約と同じようなものですが、贈与契約によって成立する死因贈与とは
   異なり、遺贈は贈与を受ける人(受遺者)の承諾はいりません。

  A寄付行為
公益団体、地方公共団体などへの寄付です。

  B信託の設定 
    信託銀行などへ財産管理や運用を任せる場合です。


 なお、次のような内容は、遺言しても法律的には効果はありません。

@婚姻すること、離婚すること、養子縁組することなど身分に関することです。
 身分関係については、子の認知と推定相続人の廃除しか効力がありません。

A葬儀や香典についての指示、葬儀執行者の指定
 葬儀のやりかた、たとえば密葬でやることについては規定はありません。また、葬儀執行者についての規定もありません。遺言で葬儀執行者を指定しても、法的効力はなく「付言事項」として取り扱われます。




posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 12:25| 遺言書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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