相続税の計算に必要な相続財産の範囲を理解しないと、相続税がどの程度かかるのかわからないので、相続財産を把握し、評価するのが重要になります。
相続税における相続財産の範囲と遺産分割協議の際の相続財産の範囲とは違います。
相続税における相続財産とされるのは、自宅や預貯金だけではありません。
課税される相続財産として、次の3つがあり、3つを全部合計します。
@相続や遺贈によって取得した財産
被相続人が亡くなった時点において所有していた土地、家屋、借地権、立木、事業・農業用財産、有価証券、各種会員権、家庭用財産、自動車、貴金属、書画・骨董、電話加入権、現金、預貯金などの一切の財産が含まれます。
ただし、生前購入した墓地や仏壇、仏具などは除外されて相続財産にはなりません。
Aみなし相続財産(相続や遺贈によって取得したとみなされる財産)
・生命保険などの死亡保険金
被相続人が負担していた保険料に対応する部分の金額
・死亡退職金、功労金、慰労金、弔慰金など
※死亡保険金や死亡退職金には非課税枠があります。
・生命保険契約に関する権利
夫が自分を受取人にして妻に生命保険をかけて保険料を支払っている途中に亡く
なった場合、妻がこの保険を相続して解約すれば、保険会社から解約返戻金が支払
われます。その解約返戻金をみなし相続財産として相続財産に加えます。
・給付事由の発生していない定期金に関する権利
妻を契約者として郵便局や保険会社の個人年金の掛け金を支払っていた夫が亡く
なった場合は、死亡時までに被相続人が支払った掛け金の額
・保証期間付定期金に関する継続受給権
20年の保証期間つきの個人年金を受け取り始めて5年後に契約者が亡くなった
場合、残りの15年分の年金が遺族に支払われるので、その受け取る年金
・被相続人の遺言により、信託の利益を受ける権利、債務の免除・引受け・弁済を受
けた場合の利益、著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合の利益など
B相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産
・相続時精算課税により贈与された財産は、何年前であっても、すべて対象になりま
す。そして、相続時精算課税制度の計算方法を用いて計算します。
・贈与を受けたときに、贈与税を納めていたら、その分は相続税から差し引きます。
・相続開始前3年以内に、被相続人から居住用不動産の贈与を受けた配偶者が、居住用
不動産の配偶者の特例による控除を受けていれば、その受けた部分については、相続
税の課税対象になりません。
次に、上記3つの合計から、非課税として差し引くことができるものを挙げます。
C葬儀費用
D債務
E非課税財産
相続人各人が実際に取得した遺産総額(@相続や遺贈によって取得した財産+Aみなし相続財産+B相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産)から、差し引き分(C葬儀費用+D債務+E非課税財産)を引いた金額が各人の課税価格で、これを相続人全員の分、合計します。合計したのが、課税遺産総額(課税価格の合計)になります。
この課税遺産総額(課税価格の合計)が、基礎控除額を超えていれば相続税がかかり、超えていなければ相続税はかかりません。
区分:相続税QA