2012年07月31日

相続登記はすぐにしないといけないのでしょうか。 相続登記しないまま放置しておいても、問題はないですか。


 相続によって不動産を取得した場合に、その不動産が自分のものであることを他人に主張するために登記をするもので、登記をしなければ行政から罰せられるということはありません。

 相続税の申告については、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と決められていますが、相続登記にはそういう期限はありません。

 しかし、相続登記をせずにいると、後々、様々な問題が起きてきます。

 それでは、どんな問題があるか、いくつか具体例を挙げてみます。


@相続登記を長い間放置しておくと、相続人が次第に増えていき、遺産分割協議が整わなくなる場合です。

 相続登記の書類も増え、費用も多くかかり複雑になります。

 たとえば、亡くなった方には、配偶者も子もおらず兄弟が相続人になりました。長い間遺産分割をしない間に相続人である兄弟にも相続が発生し、相続人が何十人にもなってしまったらどうでしょうか。

 こうなってしまうと、疎遠であったり、遠方にお住まいだったりすると遺産分割協議をまとめるのは、大変難しくなります。


A不動産を売却するときや不動産を担保にしてお金を借りることは、正当な相続人であっても相続登記をして
 いないとできません。

 相続登記を省略して被相続人名義から直接買主名義にすることはできず、いったん相続人名義に変更する必要があります。

 相続登記を怠っていたために、相続人の確定や書類集めに時間がかかってしまうと、売却するのに支障がでてしまいます。


B亡き父が、「長男に土地建物を相続させる」という遺言書を長男に残しました。長男は、「遺言書がある
 し、別に登記しなくても大丈夫だろう」と思い、父から自分名義への相続登記はしないで放置していまし
 た。

 この場合、相続人の中の一人からでも、長男名義にしないで法定相続分の持分どおりとする共有の相続登記を申請することができます。
 長男への相続登記と法定相続分の共有の相続登記は、どちらか先にしたほうが受理され登記されるからです。
 あとから申請した登記は受理されず却下されてしまいます。

 本来長男が相続したものであり、他の相続人に所有者として共有登記を抹消する請求や単独名義にする更正登記を請求することができますが、他の相続人の承諾が必要になります。もし遺留分などで争っていたら承諾が得られず、調停など問題が複雑になります。

 さらに、法定相続分の共有の相続登記をした人が、自分の相続持分を第三者に売却して登記がされてしまったら、または、自分の相続持分を担保に借金をして抵当権などの担保の登記がされてしまったら、どうなるでしょうか。

 他の相続人には所有権を主張することができますが、持分を購入して登記をした第三者や担保の登記をした債権者には、原則として所有権を主張できないのです。

 長男への相続登記と第三者への売却による持分移転の登記は、たとえ長男に遺言書があって実際の所有者だとしても、先にその登記をしていないと、持分を購入して登記をした第三者や担保の登記をした債権者には負けてしまうのです。

 つまり、早く登記をしたほうが勝ちになるのです。登記には、このような強い効力があるので、できるだけ早くしたほうがよいでしょう。


C登記をしないで放置しておくと犯罪に巻き込まれる可能性があります。

 不動産詐欺グループが古い登記簿を見つけて、本人が死亡していることを確認してから本人または相続人になりすまして、印鑑証明書などを偽造して第三者に売却してしまうこともあります。

 親族の間でも同じような事件は起こるかもしれません。

 兄弟が共同相続したはずの土地を、相続登記をしないままでいるのを利用して弟が兄の印鑑を盗用して勝手に自分名義の単独所有にする登記をして、これを第三者に売却してしまった場合などです。

 相続登記をすることで、事前に予防することができるので、できるだけすみやかに登記したほうがよいでしょう。


区分:相続登記QA
posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 13:13| 相続登記・不動産登記・名義変更 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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