2012年07月31日

遺言がある場合に、それを実現して遺産の分割をするのは誰になるのですか?

 
 遺言書に記載されている内容を実現して、財産の分割手続きを進めていく人を遺言執行者といいます。

 遺産の管理や、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務があります。

 たとえ遺言書を残していても、被相続人が亡くなった後に、相続人が遺言書の内容に従い、遺産の分割処分・名義変更、認知の手続などを進めてくれなければ困るので、遺言執行者が必要となります。

 公正証書遺言では、公証人が遺言執行者の指定と遺言執行者の権限を記載して遺言執行の時にスムーズに手続きができるように配慮してくれますが、自筆証書遺言の場合は、遺言執行者を指定しない場合が多いので、注意が必要になります。


 もし、遺言書によって遺言執行者が指定されていない場合には、二つの方法があります。

 @相続人全員で協力して執行手続きを行います。

 しかし、相続人同士で相続争いしているようですと、執行手続きができません。
 
 A利害関係人(相続人、受遺者、相続財産の債権者など)の請求により、家庭裁判所が遺言執行者を選任する方法になります。

 やはり、遺言を残す人が公平で中立な人を指定しておくのがよいでしょう。

 なお、指定された遺言執行者は、就任を承諾して執行手続きを進めることになり、就任せずに辞退することもできます。

 この遺言執行者には、遺産の中から適切な報酬(遺言書に報酬について規定があればその指定額または家庭裁判所の決定した金額)を支払うことになります。


posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 13:05| 遺言執行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

遺言書が複数でてきました。どれが有効でしょうか。


 いったん遺言書を作成したものの、後から気が変わって、書き直したのはよいが前に書いた遺言書の処分を忘れてしまって、何通も遺言書が出てきたような場合、どちらが有効な遺言書となるでしょうか。

 この場合、遺言書の内容が重複しているときは、遺言者の遺志を確認することはできません。

 そのため、新しい遺言書によって古い遺言書を取り消したものとみなしています。

 それぞれの内容が重なっていなければ、古い遺言も有効になります。

 遺言書が何通あったとしても、内容が重複していない部分は、すべて有効になります。


 では、古い遺言が公正証書遺言によってなされ、新しい遺言が自筆証書遺言の場合はどうなるかというと、同じく後に書かれた遺言書が優先することになります。

 公証人によって作られ原本も公証役場にある公文書であっても、自筆証書遺言より高い効力がある訳ではあく、公正証書遺言が優先されません。

 ただし、自筆証書遺言が法律的に有効であることが前提になります。


posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 12:55| 遺言書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらにすればよいのでしょうか。


 自筆証書遺言は、誰にも知られず、簡単に作成することができます。

 自分で書くので作成する費用もかからず、何回でも書き直すことができます。

 しかし、法律が定める方式に不備があったりすると、遺言自体が無効になってしまいます。

 また、内容が不明確だったりすると、遺言内容の解釈をめぐって争いになる可能性もあります。

 さらに、作成した時期によっては、遺言を作成する判断能力が本当にあったのか、他人によって無理やり書かかされたのではないかなどと疑われるかもしれません。

 有効な自筆証書遺言を書いたとしても、紛失してどこにあるか不明になったり、遺言書の存在を知った人によって隠されてしまったり、破棄されたり、偽造されたりするおそれもあります。

 相続開始後、家庭裁判所で検認手続きを受けることが必要になり、その手続きが終了するまで、遺言の執行をすることができません。


 一方の公正証書遺言は、公証人が作成します。

 公証人や証人が関わるので、意思が明確になるうえ、法律上も問題のない遺言書が出来上がります。

 遺言書の原本も公証役場に保管され、紛失や偽造などの心配がありません。

 相続開始後、家庭裁判所の検認手続きが不要になり、ただちに遺言の執行をすることができます。
  たとえば、遺言で不動産をもらったとき、遺言執行者が指定してあれば、相続人に知られることなく、すぐ登記手続きをすることができます。

 遺言執行が、公文書であるため文書の証拠力が高く、手続きがスムーズに進みます。
 
 また、公正証書遺言ならば、字の書けなくなった方、言葉や耳が不自由な方でも、遺言書を作成することができます。

 しかし、公正証書遺言は、公証人をはじめ、二人の証人の立会いが必要になります。

 費用や時間もかかります。しかも、いつでもどこでも自由に書き直すというわけにはいきません。


 このような違いがありますので、よく検討してどちらにするかお選びください。
 遺言を残された者にとっては、やはり公正証書遺言が良いのはいうまでもありません。


posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 12:47| 遺言書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

遺言書には、どんな種類がありますか?


  遺言は、どのような形式や場面により遺言をするかによって、種類が分かれています。

  民法が規定する遺言には、3つの普通方式と4つの特別方式に分けられています。

 普通方式は、遺言者が自分の作りたいときに自由にできるのが原則になり、これを普通方式遺言といいます。
 遺言者が危篤の状態などにあって、普通方式の遺言ができない場合に、特別方式の遺言が認められています。

 普通方式の遺言には、次の3つがあります。

@自筆証書遺言

A秘密証書遺言

B公正証書遺言


 特別方式の遺言には、次の4つがあります。

@一般危急時遺言

A難船危急時遺言

B一般隔絶地遺言

C船舶隔絶地遺言


 普通方式の秘密証書遺言と特別方式の遺言はほとんど利用されていません。

 一般に遺言書を作成する場合は、自筆証書遺言あるいは公正証書遺言を利用することなります。

区分:遺言QA
posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 12:36| 遺言書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

遺言に書くことができるのは、どんなものがありますか?


 遺言というのは、自分の死後、後の者に残す故人の遺志なので、何を書いても自由です。

 ただ、相続というのは法的な問題なので、法律的な効力があるものは限られています。

 法律上効力のない遺言事項以外を書いていけないということはありません。

 たとえば、「兄弟仲良くするように」などの訓戒や道義上のものでも、法的に効力のない事項を書いたからといって遺言そのものが無効となるわけではありません。

 逆に、そのような遺言書の記載事項は、「付言事項」として取り扱われて、相続人がそれを尊重するかどうかは任意ではありますが、最後の意思表示として重く受けとめられ実行してくれることを期待できます。


 法律上効力を有する遺言事項は、次のような場合です。

(1)相続に関すること

  @相続分の指定または指定の委託
    相続人のうち、誰か一人に多く財産を残したいなど、法定相続分と異なる割合を
   指定できます。また、指定することを第三者に委託することもできます。

  A遺産分割方法の指定または指定の委託
    財産の分割方法を、具体的に指定することができます。たとえば、会社や家業の
   承継者を決めたり、自宅は妻、預貯金は長男に残すなどと指定できます。
    また、指定することを第三者に委託することもできます。

  B遺産分割の禁止
    遺産分割で争いがおきそうなときに、最長5年間の範囲で、遺産分割を禁止する
   ことができます。

  C相続人の廃除および廃除の取消
    相続人の廃除は生存中だけでなく、遺言で廃除をすることもできます。死後、遺
   言執行者が家庭裁判所に申し立てることになります。
    また、遺言によって廃除の取り消しをすることもできます。

  D特別受益の持ち戻しの免除
    生前に贈与した財産は、そのままでは特別受益として遺産分割の際に法定相続分
   から差し引かれてしまいます。特別受益の持ち戻しを免除すると遺言することで差
   し引くのを免除することができます。

  E相続人間の担保責任の指定
    相続では、相続人間で公平な利益の分配を行うため、他の相続人に対してその相
   続分に応じた担保責任を負っていますが、遺言でこの担保責任を変更できます。
    たとえば、特定の相続人が、相続して引き継いだ債権が、取立てできなくなった
   ようなときに、他の相続人にその分を相続分に応じて負担してもらうことなどを決
   めることができます。

  F遺贈減殺方法の指定
    法定相続人の遺留分を侵害する遺贈をしたことにより、法定相続人が遺留分を要
   求してきた場合に、どの財産から、またどのような割合で法定相続人に持ち戻し(減
   殺)できるかを指定することができます。

  G遺言執行者の指定または指定の委託
    遺産を引き渡したり、登記をしたりといった遺言内容を実行してくれる遺言執行
   者の指定をすることができます。さらに指定の委託をすることができます。


(2)身分に関すること

  @子の認知
    生前中に認知できなかった婚姻届を出さずに生まれた子が実子であることを認
   知します。まだ、生まれていない胎児の認知もできます。
    認知により非嫡出子とされ、法定相続分は実子の2分の1となります。

  A未成年後見人の指定および後見監督人の指定
    遺言者が単独の親権者で相続人が未成年者の場合、親権者が一人もいなく
   なるので財産管理などをする後見人を指定をすることができます。
    また、その後見人を監督する後見監督人の指定もできます。

  B祭祀承継者の指定
    祖先の墓地・仏壇などの承継者を指定することができます。


(3)財産処分に関すること

  @遺贈
    遺言による財産の贈与で、誰にでも贈与することができます。被相続人から見れ
   ば第三者ではないが、相続人でない人(内縁の妻、事実上の養子、長男の嫁など)
   に財産を残すことができるのです。

    遺言によって財産を贈ることを遺贈といいます。ある特定の財産を指定して行う
   場合を特定遺贈と遺産の全部あるいは一定の割合を指定する場合を包括遺贈があり
   ます。

    死因贈与契約と同じようなものですが、贈与契約によって成立する死因贈与とは
   異なり、遺贈は贈与を受ける人(受遺者)の承諾はいりません。

  A寄付行為
公益団体、地方公共団体などへの寄付です。

  B信託の設定 
    信託銀行などへ財産管理や運用を任せる場合です。


 なお、次のような内容は、遺言しても法律的には効果はありません。

@婚姻すること、離婚すること、養子縁組することなど身分に関することです。
 身分関係については、子の認知と推定相続人の廃除しか効力がありません。

A葬儀や香典についての指示、葬儀執行者の指定
 葬儀のやりかた、たとえば密葬でやることについては規定はありません。また、葬儀執行者についての規定もありません。遺言で葬儀執行者を指定しても、法的効力はなく「付言事項」として取り扱われます。


posted by 司法書士土地家屋調査士中村事務所 at 12:25| 遺言書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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